eDiscovery(イーディスカバリー)

eDiscovery(イーディスカバリー)

eDiscovery(イーディスカバリー)とは、「Electronic Discovery(電子情報開示)」の略で、法的な訴訟や調査、監査などが発生した際に、企業が保有する電子データ(メール、ファイル、チャット履歴など)の中から、関連性の高い情報を収集し、開示するプロセス全体を指します。

特に米国における民事訴訟では、相手方当事者に対し、関連する電子データを積極的に開示することが法的に義務付けられており、日本企業が米国で訴訟に関わる場合もこの制度の対象となります。

例えるなら、裁判のために過去の記録をすべて調べ上げる作業のうち、デジタルデータに関する部分がeDiscoveryです。紙の書類を探し出すだけでなく、パソコンの中の文書、メールのやり取り、チャットの会話履歴など、あらゆる電子的な証拠を特定し、保全し、審査し、開示する複雑なプロセスです。

Google WorkspaceにおけるeDiscovery

Google Workspaceでは、主に「Google Vault(グーグル ボールト)」というサービスがeDiscoveryの核となる機能を提供します。Google Vaultは、Google WorkspaceのBusiness PlusまたはEnterpriseエディションに含まれており、以下の機能を通じてeDiscoveryプロセスを支援します。

  1. データ保持(Retention):
    • 企業内の特定のデータ(Gmail、Googleドライブのファイル、Google Chatの履歴など)を、設定された期間にわたって自動的に保存・アーカイブします。これにより、誤って削除されたり、期間が経過して自動的に削除されたりするのを防ぎます。
  2. 訴訟ホールド(Legal Hold / Litigation Hold):
    • 訴訟や調査が開始された際に、特定のユーザーやデータに対して「訴訟ホールド」を設定できます。これにより、通常のデータ保持ポリシーとは関係なく、そのデータが永久に削除されないように保護され、法的証拠として保全されます。
  3. 検索と抽出(Search and Export):
    • Google Workspaceに保存された膨大なデータの中から、キーワード、日付、ユーザー、ファイルの種類など、様々な条件を指定して、関連性の高い情報を効率的に検索できます。
    • 検索で特定されたデータは、法的に有効な標準形式(例:GmailはMBOX形式)でエクスポートし、外部の弁護士や法務ツールに提供することができます。
  4. 監査ログ(Audit Log):
    • Vault内での検索、エクスポート、保持ルールの変更など、管理者によるすべての操作履歴が記録されます。これにより、eDiscoveryプロセスの透明性と信頼性が保証されます。

eDiscoveryの重要性

  • コンプライアンスの遵守: 法的義務や規制への対応を可能にし、企業の信用失墜や罰則のリスクを回避します。
  • コストと時間の削減: 膨大な電子データの中から手動で証拠を探す手間を省き、迅速かつ効率的に必要な情報を特定・収集することで、訴訟にかかる時間とコストを大幅に削減します。
  • リスクマネジメント: 不正行為や情報漏洩が発生した場合の調査を支援し、原因究明や再発防止策の立案に役立ちます。

eDiscoveryは、現代のデジタル化されたビジネス環境において、企業が法的リスクを管理し、健全な事業運営を維持するために不可欠な機能となっています。


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