エフェメラルIP

エフェメラルIP

エフェメラルIPアドレスは、一言でいうと「一時的に利用できる、使い捨てのIPアドレス」のことです。Google Cloud の仮想サーバーサービスである Compute Engine で仮想マシン(VMインスタンス)を作成する際、特に指定をしないと自動的に割り当てられるのが、このエフェメラルIPアドレスです。

「エフェメラル(Ephemeral)」とは「つかの間の」「はかない」といった意味を持つ英単語で、その名の通り、永続的な利用を前提としていません。


静的IPアドレスとの違い

エフェメラルIPアドレスを理解する上で重要なのが、対義語である「静的(Static)IPアドレス」との違いです。

  • エフェメラルIPアドレス(動的IP)

    • 特徴: VMインスタンスを停止して、再び起動するとIPアドレスが変わってしまう可能性があります。

    • 料金: 無料で利用できます。

    • 用途: IPアドレスが固定されている必要がない、一時的なデータ処理や開発・テスト環境などに向いています。


  • 静的IPアドレス(固定IP)

    • 特徴: 一度取得(予約)すると、そのIPアドレスを半永久的に使い続けることができます。VMインスタンスを停止・再起動しても変わりません。

    • 料金: 予約したIPアドレスをVMインスタンスに割り当てて使用している間は無料ですが、割り当てずに保持しているだけの場合は料金が発生します。

    • 用途: Webサイトや社内システムのサーバーのように、ドメイン名(例: www.---.jp)を紐づけて外部から常に同じアドレスでアクセスする必要がある場合に必須です。

例えるなら、エフェメラルIPが「フリーアドレスの席」で、静的IPが「指定席」のようなものです。毎回同じ席に座る必要がなければフリーアドレスで十分ですが、自分の席が決まっていた方が都合が良い場合は指定席を確保する、というイメージです。


どんな時に使うの?

エフェメラルIPアドレスは、その手軽さとコストがかからない点から、様々な場面で活用されます。例えば、大量のデータを一時的に処理するためだけに短時間だけVMインスタンスを起動するようなケースや、アプリケーションの動作テストを行う環境など、外部から特定のIPアドレスでアクセスする必要がない場合に最適です。

一方で、会社のホームページを公開したり、メールサーバーを構築したり、特定のIPアドレスからのアクセスのみを許可するようなセキュリティ設定を行ったりする場合には、IPアドレスが変わるとサービスが停止してしまうため、静的IPアドレスを利用する必要があります。

Google Cloudを使い始めたばかりのうちは、意識せずにエフェメラルIPアドレスを使っていることが多いですが、用途に応じて静的IPアドレスに切り替える(昇格させる)ことが重要です。




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