Google Workspace Admin SDK(グーグル ワークスペース アドミン エスディーケー)
Google Workspace Admin SDK(Software Development Kit)は、Google Workspaceの管理者向け機能をプログラムから操作するためのツールキットです。これを使うことで、企業や組織のGoogle Workspace環境の管理業務を自動化したり、既存のITシステムと連携させたりすることが可能になります。
例えるなら、Google Workspaceの管理者コンソール(Admin Console)が手動で操作する「ダッシュボード」だとすると、Admin SDKは、そのダッシュボードで行う設定や操作を、プログラムコードを通じて「自動でボタンを押したり、情報を入力したりする」ための「リモートコントロール」のようなものです。
Admin SDKでできること(主な機能)
Admin SDKは、様々なAPI(Application Programming Interface)で構成されており、それぞれ特定の管理機能を提供します。
- Directory API(ディレクトリAPI):
- ユーザー管理: 従業員のアカウントの作成、更新、削除、パスワードのリセットなどを自動化します。例えば、人事システムから従業員情報を取得し、自動でGoogle Workspaceアカウントをプロビジョニング(準備)する連携が可能です。
- グループ管理: メーリングリストや共有ドライブのグループの作成、メンバーの追加・削除などを自動化します。
- デバイス管理: 組織内のモバイルデバイスやChromebookの管理情報を取得したり、設定を適用したりします。
- Reports API(レポートAPI):
- 利用状況のレポート作成: 各ユーザーのGmailの利用状況、Googleドライブのストレージ使用量、Google Meetの会議参加状況など、Google Workspaceの利用状況に関するデータをプログラムで取得し、独自のレポートを作成できます。
- 監査ログの取得: ユーザーのアクティビティログや管理者による操作ログを取得し、セキュリティ監査やコンプライアンス対応に活用できます。
- Reseller API(リセラーAPI): Google Workspaceの再販業者が、顧客の契約やライセンス管理を自動化するために使用します。
Admin SDKの活用メリット
- 運用効率の向上: 手動で行っていた定型的な管理作業(アカウント作成や削除など)を自動化することで、管理者の負担を大幅に軽減し、作業ミスを削減します。
- システム連携の強化: 人事システム、ID管理システム、IT資産管理システムなど、社内の様々なシステムとGoogle Workspaceを連携させ、情報の一元管理やワークフローの自動化を実現します。
- ガバナンスとセキュリティの強化: ポリシーの自動適用、詳細なログ分析、利用状況の可視化を通じて、組織全体のセキュリティとコンプライアンス体制を強化します。
- カスタマイズと柔軟性: Admin Consoleでは提供されていないような、組織固有の複雑な管理要件にも、プログラムを開発することで対応可能になります。
Admin SDKは、プログラミングスキルを持つIT管理者や開発者向けに提供されており、Google Workspaceをより深く、より柔軟に活用したい企業にとって強力なツールとなります。