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Google Workspace Migrate(グーグル ワークスペース マイグレート)
Google Workspace Migrate(グーグル ワークスペース マイグレート)は、Googleが提供する大規模なデータ移行を安全かつ効率的に行うための公式ツールです。特に、他のクラウドサービスやオンプレミス(自社サーバー)環境からGoogle Workspaceへ、あるいはGoogle Workspaceの異なる環境間でのデータ移行を支援するために開発されました。
例えるなら、会社全体の引っ越しをするときに、ただ荷物を運ぶだけでなく、膨大な書類や機材を整理し、どこに何があるかを正確に把握しながら、安全かつ迅速に新居に運び入れるための「専門の引っ越し業者と、そのための専用ツールセット」のようなものです。
Google Workspace Migrateが必要なケース
企業が以下のような大規模なデータ移行を行う際に活用されます。
- オンプレミスからの移行:
- Microsoft Exchange、Notesといった社内サーバーで運用されているメールシステムからGmailへの移行。
- 企業内のファイルサーバーに保管されている共有ファイルやユーザーの個人ファイルをGoogleドライブ(共有ドライブを含む)へ移行。
- 他のクラウドサービスからの移行:
- Microsoft 365(SharePoint、OneDrive)や、Boxなどの他のクラウドストレージサービスからGoogle Workspaceへの移行。
- Google Workspace環境間の移行:
- 買収・合併などにより、異なるGoogle Workspaceドメイン間でユーザーアカウントやデータを統合・移行したい場合。
- ある組織部門のデータを別の組織部門のGoogle Workspace環境に移動したい場合。
Google Workspace Migrateの主な機能とメリット
- 多様なデータソースへの対応: Microsoft Exchange、SharePoint、OneDrive、ファイル共有システム、Box、そして別のGoogle Workspace環境など、様々なソースからのデータ移行に対応しています。
- 包括的なデータ移行: メール、カレンダー、連絡先、Googleドライブ(共有ドライブを含む)、サイトなどの主要なGoogle Workspaceデータを網羅的に移行できます。
- 評価と計画: 移行プロジェクトを開始する前に、移行元の環境をスキャンし、移行に必要な時間、潜在的な問題点、重要なマイルストーンなどを評価・計画するのに役立ちます。
- 差分移行(増分移行): 一度にすべてのデータを移行するのではなく、初回移行後に変更があったデータだけを追跡し、差分を移行する機能(増分同期)に対応しています。これにより、業務の中断を最小限に抑えながら移行を進めることができます。
- 詳細なレポートとトラッキング: 移行の進行状況、成功率、エラーなどに関する詳細なログとレポートが提供されるため、管理者はプロジェクトの健全性を常に把握できます。
- 堅牢な設計: Googleの公式ツールとして、大規模なデータ量と複雑な移行シナリオに対応できるように設計されており、セキュリティとデータの整合性が重視されています。
Google Workspace Migrateは、特に大規模な組織におけるGoogle Workspaceへの移行プロジェクトにおいて、手間とリスクを大幅に削減し、スムーズなクラウド移行を実現するための重要なツールです。このツール自体には費用がかかりませんが、移行のためのサーバー構築・運用費用や、ベンダーによる移行支援費用が発生する場合があります。