MDM(エムディーエム)

MDM(エムディーエム)

MDM(エムディーエム)とは、「Mobile Device Management(モバイル デバイス マネジメント)」の略で、企業や組織が利用するスマートフォン、タブレット、ノートパソコンなどのモバイルデバイスを、一元的に管理し、セキュリティを確保するためのシステムや仕組みのことです。

例えるなら、会社が社員に貸与している携帯電話や、社員が仕事で使う個人のスマホ(BYOD)を、IT管理者が遠隔からまとめて「設定を管理したり」「紛失時にロックをかけたり」「必要なアプリをインストールしたり」できる「デジタルな警備システム」のようなものです。

MDMの主な目的と機能

MDMの導入目的は、デバイスのセキュリティ強化、情報漏洩防止、運用管理の効率化にあります。主な機能は以下の通りです。

  1. セキュリティポリシーの適用と強制:
    • パスワードの強制: 一定の複雑さを持つパスワードやPINコードの設定を義務付けます。
    • 画面ロックの自動化: 一定時間操作がない場合に自動で画面をロックする設定を強制します。
    • デバイスの暗号化: デバイス内のデータを暗号化することで、紛失・盗難時の情報漏洩リスクを低減します。
    • 特定の機能の制限: カメラ機能の無効化、スクリーンショットの禁止、未承認アプリのインストール制限など、機密性の高い情報を取り扱う現場での利用を制御します。
  2. デバイスの登録と設定の展開:
    • 組織内のデバイスをMDMシステムに登録し、業務に必要なWi-Fi設定、VPN設定、メール設定、証明書などを自動的にデバイスにプッシュ配信(配布)します。
    • これにより、ユーザーは手動で複雑な設定をする手間が省け、すぐに仕事を開始できます。
  3. アプリの管理:
    • 業務に必要なアプリ(例:Google Workspaceアプリ、社内専用アプリ)のインストールを強制したり、更新を管理したりします。
    • 逆に、業務に不要なアプリやセキュリティリスクのあるアプリの使用を制限・ブロックすることも可能です。
  4. リモート操作とデータ保護:
    • リモートワイプ(遠隔消去): デバイスが紛失・盗難に遭った場合や、従業員が退職した場合に、デバイス内の会社データや個人データを遠隔から完全に消去し、情報漏洩を防ぎます。
    • リモートロック: デバイスを遠隔からロックし、不正なアクセスを阻止します。
    • 位置情報の追跡: 紛失したデバイスの位置情報を特定する機能を提供する場合もあります。
  5. デバイスの監視とレポート:
    • デバイスのセキュリティ状態(OSのバージョン、セキュリティパッチの適用状況など)を監視し、管理者にレポートを提供します。
    • コンプライアンス違反があった場合にアラートを送信します。

Google WorkspaceとMDM

Google Workspaceには、基本的なMDM機能(Endpoint Managementとして提供)が標準で組み込まれています。これにより、Google WorkspaceのAdmin Consoleから、Android、iOS、Windows、macOS、ChromeOSなどのデバイスを管理し、パスワードポリシーの適用やリモートワイプなどが可能です。

また、より高度なMDM(あるいはUEM: Unified Endpoint Management)ソリューションとGoogle Workspaceを連携させることも可能です。これにより、さらに詳細なデバイス制御、アプリ管理、セキュリティ対策を実現し、企業の複雑なニーズに対応します。

リモートワークやBYOD(Bring Your Own Device:個人のデバイスを業務に利用する)が普及する現代において、MDMは企業の情報セキュリティを維持し、管理者の運用負担を軽減するために不可欠なソリューションとなっています。


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