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PaaSのデメリット 😟
目次
PaaS(Platform as a Service)
PaaS(Platform as a Service) は、日本語で「サービスとしてのプラットフォーム」と訳され、クラウドサービスの提供形態の一つです。アプリケーションを開発、実行、管理するために必要なプラットフォーム(開発環境、実行環境、ミドルウェア、データベースなど)をインターネット経由で利用できるサービスを指します。
例えるなら、自分で家を建てるために、土地探しから基礎工事、大工の手配まですべて行う(IaaSやオンプレミス)のではなく、すでに建物の骨組みや水道・ガス・電気の配管などが整った状態の建物(プラットフォーム)を借りて、内装(アプリケーションコード)だけを自由に作り込むようなイメージです。これにより、開発者はインフラの複雑な管理から解放され、アプリケーションの作成に集中できます。
PaaSで提供される主なもの
PaaSでは、アプリケーション開発に必要な以下の層が提供され、管理されます。
- オペレーティングシステム (OS): サーバーの基本となるソフトウェア(Linux, Windows Serverなど)。
- ミドルウェア: OSとアプリケーションの橋渡しをするソフトウェア(Webサーバー、アプリケーションサーバー、データベースなど)。
- ランタイム環境: アプリケーションコードを実行するための環境(Java, Python, Node.jsなどの実行エンジン)。
- 開発ツール: コードエディタ、デバッグツール、バージョン管理システムなど。
- データベース: アプリケーションが利用するデータストア。
- ネットワークインフラ: ロードバランサー、ファイアウォールなど。
- 自動スケーリング機能: アクセス状況に応じてリソースを自動的に調整する機能。
PaaSのメリット 😊
- 開発の迅速化: サーバーやOS、ミドルウェアの構築・設定が不要なため、開発者はすぐにコーディングを開始できます。事前に用意された開発ツールやライブラリを活用することで、開発期間を大幅に短縮できます。
- 運用・管理の負担軽減: プラットフォームの運用、保守、パッチ適用、セキュリティアップデートなどはすべてクラウドプロバイダーが担当します。これにより、IT部門の運用負荷が軽減されます。
- コスト削減: ハードウェアの購入費用や、それを維持するための電力・冷却費用、専門人材の人件費などを削減できます。多くの場合、従量課金制であり、使った分だけ支払うため、効率的なコスト運用が可能です。
- 高いスケーラビリティ: アプリケーションへのアクセスが増加した場合でも、PaaSが自動的にリソースを増強(スケールアウト)してくれるため、急なトラフィック増加にも柔軟に対応できます。
- 高可用性: クラウドプロバイダーが提供するPaaSは、通常、複数のデータセンターにわたる冗長化されたインフラ上で稼働しており、高い可用性と耐障害性を持っています。
- どこからでもアクセス可能: インターネット環境があれば、場所を選ばずに開発環境やデプロイされたアプリケーションにアクセスできます。
PaaSのデメリット 😟
- カスタマイズの制限: IaaSに比べて、OSやミドルウェアのバージョン、ネットワーク構成など、基盤部分の自由なカスタマイズが制限される場合があります。特定の要件がある場合は、PaaSの制約が課題となることがあります。
- ベンダーロックイン: 特定のPaaSに深く依存してアプリケーションを構築した場合、他のPaaSへの移行が困難になる(ベンダーロックイン)可能性があります。
- セキュリティ責任の共有: プラットフォームのセキュリティはプロバイダーが担いますが、アプリケーションコード自体のセキュリティや、データ管理のセキュリティは利用者側の責任となります。
- 運用コストの予期せぬ増加: 自動スケーリング機能があるため、トラフィックの急増によっては予期せぬ利用料金が発生する可能性があります。
PaaSのユースケース(活用例)
- Webアプリケーションの開発とデプロイ: 最も一般的なPaaSの利用例です。WebサイトやSaaS型アプリケーションのバックエンドとして、迅速な開発とスケーリングが可能です。
- API開発: モバイルアプリや他のシステムと連携するためのAPIを効率的に構築・提供します。
- マイクロサービス: 複数の小さなサービスを組み合わせて大規模なアプリケーションを構築する際に、各サービスをPaaS上で個別に開発・デプロイできます。
- 開発・テスト環境: 開発チームがすぐに利用できる統一された開発・テスト環境を提供し、CI/CD (継続的インテグレーション/継続的デリバリー) パイプラインを構築します。
- ビジネスインテリジェンス (BI) / データ分析: データを収集・分析するためのプラットフォームとして利用されます。
Google Cloud における主要なPaaSサービス
Google Cloud は、多種多様なPaaSを提供しています。
- App Engine: Webアプリケーションやモバイルバックエンド向けのフルマネージドなプラットフォーム。標準環境とフレキシブル環境があり、多様な言語に対応しています。
- Cloud Run: コンテナ化されたアプリケーションをイベント駆動型で実行できるサーバーレスなプラットフォーム。HTTPリクエストやPub/Subメッセージなどに応じて自動スケーリングします。
- Cloud Functions: イベント駆動型のサーバーレス関数。特定のイベント(HTTPリクエスト、ファイルアップロードなど)をトリガーに、短期間で実行されるコード片に最適です。
- Firebase: モバイルおよびWebアプリケーション開発向けの統合プラットフォーム。認証、データベース(Firestore)、ストレージ、ホスティングなど、開発に必要な多くの機能を提供します。
- BigQuery: サーバーレスなデータウェアハウス。データ分析のための基盤を提供します。
関連リンク
- PaaS とは | Google Cloud
- PaaSとは?IaaSとの違いや仕組み、代表的なサービス例を紹介 – 電算システム
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