Single Sign-On(シングル サインオン / SSO)
Single Sign-On(シングル サインオン)、略してSSO(エスエスオー) とは、Google Workspaceの文脈において、ユーザーが一度の認証(ログイン)で、複数の異なるアプリケーションやサービスにアクセスできるようになる仕組みのことです。
例えるなら、会社のエントランスで社員証を一度かざすだけで、自分のデスクのパソコン、会議室の予約システム、会社の食堂の支払い、コピー機など、複数の場所にいちいち認証することなくアクセスできるようなものです。デジタル世界で「一度の鍵でどこでも開く」利便性を提供します。
SSOが必要とされる背景
現代のビジネス環境では、企業が多くのクラウドサービス(SaaS)や社内システムを利用することが一般的になりました。その結果、以下のような課題が生じました。
- パスワード管理の複雑化: ユーザーはサービスごとに異なるIDとパスワードを覚える必要があり、パスワード忘れや使い回しによるセキュリティリスクが高まる。
- ログインの手間: 業務中に何度もログインを繰り返す必要があり、生産性が低下する。
- 管理の煩雑さ: IT管理者は、多数のシステムでユーザーアカウントを個別に管理する手間がかかる。
SSOはこれらの課題を解決し、ユーザーの利便性とセキュリティを同時に向上させることを目指します。
SSOの主な仕組み
SSOを実現するための技術にはいくつかありますが、Google Workspaceでは主にSAML(Security Assertion Markup Language)という標準規格が利用されます。
- IdP(Identity Provider:IDプロバイダー): ユーザーの認証情報を一元的に管理し、認証を行うサービスです。Google Workspace自体をIdPとして利用することも、他の外部IdP(例:Microsoft Azure AD、Oktaなど)と連携させることも可能です。
- SP(Service Provider:サービスプロバイダー): ユーザーが利用したい各アプリケーションやサービス(例:Salesforce、Workday、Box、社内システムなど)のことです。
SSOの基本的な流れ: ユーザーがSPにアクセスしようとすると、SPはIdPにユーザーの認証を要求します。ユーザーがIdPで認証(ログイン)を一度行えば、IdPはその認証が成功したことをSPに伝え、SPはユーザーのアクセスを許可します。この際、ユーザーのパスワードが各SPに渡ることはありません。
SSOのメリット
- ユーザーの利便性向上: サービスごとにログインする手間が省け、パスワードを複数覚える必要がなくなるため、ユーザーエクスペリエンスが向上します。
- セキュリティの強化: ユーザーが複雑なパスワードを使い回すリスクが減り、IdP側で多要素認証(二段階認証など)を強制することで、全体的なセキュリティレベルが高まります。不正アクセスのリスクも低減されます。
- 管理コストの削減: IT管理者は、ユーザーのパスワード忘れによる問い合わせ対応や、多数のシステムのアクセス管理にかかる手間を削減できます。アカウントの作成・削除・更新もIdP側で一元的に管理できるようになります。
- コンプライアンスの遵守: アクセスログの一元管理が容易になり、監査対応やコンプライアンス要件への準拠がしやすくなります。
SSOは、現代のクラウド中心のビジネス環境において、企業が利用する多くのアプリケーションを安全かつ効率的に運用するための、非常に重要な基盤技術です。Google Workspaceは、SSOの実装を強力にサポートし、企業のセキュリティと生産性向上に貢献します。