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DLP(ディーエルピー)
DLP(Data Loss Prevention:データ損失防止) とは、Google Workspaceにおいて、企業の重要な情報や機密データが、誤って、あるいは悪意を持って社外に流出したり、不適切な共有がされたりするのを防ぐためのセキュリティ機能です。
これは、会社の機密文書を扱う部署に「機密情報持ち出し禁止」のルールを設け、もし誰かがそのルールを破ろうとしたら、自動的に検知して阻止するシステムのようなものです。
DLPが守るものと防ぐシナリオ
DLPは、以下のような情報漏洩のリスクから企業を守ります。
- 人為的なミス: 従業員が誤って顧客の個人情報や会社の財務データを含むメールを、間違った相手に送信してしまう。
- 悪意のある行動: 退職を控えた従業員が、顧客リストや開発中の製品情報を個人のクラウドストレージにコピーしようとする。
- システムの設定ミス: Googleドライブの共有設定を誤り、機密性の高いファイルが意図せず外部に公開されてしまう。
DLPは、これらのシナリオにおいて、以下の機能で情報漏洩を未然に防ぎます。
DLPの仕組みと主な機能
- コンテンツの自動検出と識別: DLPは、メールの内容、ドキュメント内のテキスト、添付ファイルなどを自動的にスキャンし、機密情報のパターンを検出します。例えば、クレジットカード番号、マイナンバー、特定のキーワードや正規表現(電話番号の形式など)があらかじめ設定されており、これらと合致する情報がないか常に監視しています。
- ポリシーに基づいたアクション: 機密情報が検出された場合、管理者が事前に設定した「DLPポリシー(規則)」に基づいて、自動的に以下のような対応を行います。
- ブロック: 検出されたデータを含むメールの送信やファイルの共有を完全に停止します。
- 警告: ユーザーに対して「この情報には機密データが含まれていますが、本当に共有しますか?」といった警告メッセージを表示し、注意を促します。
- 隔離: メールの送信を一時的に保留し、管理者が内容を確認してから許可するかどうかを判断します。
- ログ記録と通知: 不正な操作やポリシー違反を監査ログに記録し、管理者にアラートで通知します。
DLPを導入するメリット
- 情報漏洩リスクの低減: 機密データが組織の管理外に流出するリスクを大幅に減らし、企業イメージの毀損や法的責任を回避します。
- コンプライアンスの強化: 個人情報保護法や業界固有の規制(GDPR、PCI DSSなど)に準拠するための強力な手段となります。
- 管理者の負担軽減: 手動でのデータチェックや監視の手間を省き、自動化されたセキュリティ対策によりIT管理者の運用負荷を軽減します。
- 従業員のセキュリティ意識向上: ポリシー違反に対する警告などにより、従業員のセキュリティ意識を高める効果も期待できます。
Google WorkspaceのDLP機能は、主にEnterpriseエディションで利用でき、企業のデジタル資産を守る上で不可欠なセキュリティ対策の一つとして活用されています。